第2章 “荒野”
鶴見さんがブドウの実に憧れて手を伸ばしましたら、その実の連なりは宝珠なのでした。それでもええかと手に取りますと、輝く表面に映る人影は私以外にもうひとつ。優しい兄が居りました。兄はするりと私の手から宝珠をうばい取って、彼方を指差し言うのです。あちらに本物のブドウ畑があったよと。
ぱらめそ
第2章 “荒野”
鶴見さんがブドウの実に憧れて手を伸ばしましたら、その実の連なりは宝珠なのでした。それでもええかと手に取りますと、輝く表面に映る人影は私以外にもうひとつ。優しい兄が居りました。兄はするりと私の手から宝珠をうばい取って、彼方を指差し言うのです。あちらに本物のブドウ畑があったよと。