コーヒー記録23.05.2〜06.09カルディコーヒーファーム・バードフレンドリーダークロースト/タリーズコーヒー・ブラジル・ファゼンダバウ

前回のコーヒー豆が切れてからは、コナズ珈琲のハウスブレンドやハワイコナブレンドといった個包装のレギュラーコーヒーを試すなどしていた。コナズ珈琲のものは華やかというか、変わった香りがしてハワイアン系喫茶のチルな趣を感じるものだった。

 

05/04
コーヒー豆の手挽きにハマってから続けざまに自家焙煎店からおすすめされたコーヒーを味わったので、次はなににしようか考える。常飲するにあたり、価格的に無理をせずいろいろな味を知りたいということで、今回はチェーン店縛り。
チェーン店をはしごしたり豆を買ったりするのは初めてで楽しみ。

カルディの店内をじっくり物色することはあまりないが、面白いものがたくさん売っていて楽しかった。
ドリッパーや計量スプーンを購入。使いやすくていい感じ。
タリーズでは親切な店員さんから「本日のコーヒー」や水出しコーヒーなどを試飲させて頂き、お話もうかがうことができた。
パンフレットに載っているタリーズのBEANS GUIDEは全ラインナップのポジショニングマップを見ることができて興味深い。

入手したコーヒーについて大まかに。

・カルディ バードフレンドリーダークロースト
渡り鳥の過ごす森林を守るためのバードフレンドリー認証を得た農園の豆(生豆生産国はコロンビア、エルサルバドルなど)。そういう取り組みがあることを初めて知った。種類がいろいろあったが深煎りが好きなのでこちらに決めた。

カルディは他にも環境や人に配慮したさまざまなコーヒーを取り扱っている。四月までは豊橋の焙煎研究所さんでおすすめいただいたタイのコーヒーを飲んでいたが、カルディではドイトンコーヒーとして販売している。自分が飲んだものと全く同じ農園の豆とは限らないと思うが、おそらく風味や香りはよく似ているのだろう。ちなみにドイトンコーヒーは季節限定とのこと。
こういった商品を充実・流通・拡販できるのも大手チェーン店の強みかもしれない。
酔っ払いそうな濃密な匂い。バードフレンドリーダークローストはカフェオレ向きで本当においしい。

・タリーズ ブラジル ファゼンダバウ
ブラジルのひとと一緒に働いているが、ブラジルのコーヒーは飲んだことがない。農園主とタリーズの商品開発担当者のことがパッケージに書かれていた。背景を知ることは自分にとって重要なので、なるべく情報量の多いものを選んだ。あと印刷されている鳥の絵がかわいかった。

ファゼンダバウは標高約1000~1100m、ミナスジェライス州セラード地区パトスデミナスというエリアの農園。農園主はフクダトミオ氏。
かつてコロノ(契約労働者)として農園で働いたブラジル移民の子孫の方だろうか。ブラジルコーヒーの歴史をたどると1892年にブラジル政府から表明された日本人移民受け入れが深く関係しているのがわかる。移民政策は国策として大々的に打ち出され、ブラジルへ渡った日本人の8割がコーヒー農園で栽培に従事したとされる。

自分の住む地域にブラジルからの移民の方が多いのでなんとなくブラジルは気になる存在だ。日本へ渡ってきて知り合った同僚などからよく聞く話として、ブラジリアン柔術、音楽、コロニア語といったものがあり、少なからず日本人にわかりやすい話題を選定しているのかもしれないが、それぞれに興味がある。

得意げに枚挙するのも恥ずかしいが、石川達三の『蒼氓』をはじめ、移民をテーマとした文学作品には、現代を生きる自分のようなふんわりとしたイメージではなく、克明な実体験としてブラジルへ渡航した人間の記録作品が多い。田宮虎彦のルポタージュ的作品『ブラジルの日本人』、山崎豊子『二つの祖国』、石川好『ストロベリーロード』、渡辺喜恵子『プルメリアの木陰に』なども印象的な作品として想起される。

同日。
さっそくバードフレンドリーを初抽出。
バードフレンドリーシリーズのなかでもっともローストした豆の色が濃い。香りは香ばしいが重くなく、スモーキーというよりは華がある感じ。蒸らしている間はちょっと甘い匂いもする。

まずはブラックで飲んでみる。挽きたて、淹れたてのコーヒーはやっぱりおいしい。
自分はブラックコーヒーそのものは得意でないため、一口飲んだらカフェオレにしている。コクがあってふくよかで、口当たりがなんとも言えず柔らかい。

 

05/09
一度の抽出で30g程度を細目に手挽きするのが気に入っている。いい感じの濃さ。
今日は途中で味が変わるのかもと思い立って、いつもより長くブラックコーヒーで飲み進めると、しだいに酸味を感じるようになった。喉がイガイガするような感じがした。アメリカンにするつもりでなくても少しお湯を入れるといいかもしれない。

コーヒーの栽培に適した地域、北緯25度北回帰線~赤道~南緯25度南回帰線をコーヒーベルトと呼ぶことを知った。たしかに、タイもタンザニアもブラジルもこの範囲のなかにある。マップを見ていると、南方のコーヒーにはふくよかでフルボディな口当たりのコーヒーが多い印象。

 

05/17
バードフレンドリーを飲みきった。早くもあの味が恋しいと思うようになったので、軽く依存している状態かもしれない。好きなコーヒーに出会えることは幸運だなと思う。

次はブラジル・ファゼンダバウを開封する。ファゼンダバウはナチュラルと呼ばれる精製方法を採用している。完熟したコーヒーチェリーを広大なパティオに広げ、天日乾燥させることで甘みが凝縮されるという。
ポジショニングマップによると酸味も多すぎず少なすぎず(やや少ない寄り)、すっきり寄りかはコクがあるが、すべての指標のちょうど中間にあってバランスがよいと感じる。
ナッティーで後味の甘みが心地よい。ガツンとした特徴があって覚醒するというよりも、ソファに座ってぼうっとしながら飲むのにぴったりだと思った。

 

05/30
コーヒー豆を保存するのによさそうなぽってりとしたガラス容器を譲ってもらった。次の豆は何にしようかワクワクがはかどる。
ちなみに豆はだいたい十日前後で200gくらい消費している。

レギュラーコーヒーに頼る機会も増えているが、お湯の注ぎ方はややコツを掴めてきたように思う。
怠惰を自戒するよりも、むしろお湯を注ぐだけの便利なものも積極的に上手に活用してリラックスした時間を大事にしたい。
コーヒーに触れる機会が増えれば増えるほどいろんなコンディションの日にあたる。こうでなければいけないと自分を縛るよりも、日常のさまざまなシーンやパターンに合わせて適応できれば、そこそこ上手く気を緩めることができるのではないか。

昔からリラックスするのが下手で不安がったり緊張しいなのだが、プライベートな時間の質を上げることによってパフォーマンスに変化が生じる、というのを科学実験的に(なにか数値など測っているわけではないのであくまで的に)楽しんでいる節がある。
楽しむことに対する抵抗をなるべく減らして、楽に生きるすべを模索したい。

読書や音楽鑑賞がそうであるように、コーヒーも、余白の時間を五感(香り)に満ちた空間や余裕のある気分に変換するための手段として捉えている。